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会社案内最近チラホラと入庫することがある「スズキ車のCVTのジャダー」について検証する機会がありましたので、記録もかねて書いていきたいと思います。症状としては低速からの加速時に「ダッダッダッダッ」と車体が振動する、というもの。整備従事者なら分かるかもしれませんが、ホンダの初期型フィットやモビリオなどにみられた加速時のジャダーと同じ印象の症状です。今回検証した車両の場合は、交差点などの右左折後から、加速しようとする際に症状が出やすいようでした。冷間時でも完全暖気後でも症状は変化しないことから、CVTFの油温に左右されない症状のようです。
まずはCVTFの量を点検してみます。右の写真がオイルレベルゲージです。黄色い矢印の間に油面があるのが適正ですが、若干少ないようです。適正量に調整して再度試運転を行います。結果は「変化なし」。この程度の不足では、異常な症状が出ないことは理解しているのですが、一つ一つの可能性を潰していくのも検証では大切なことです。
次はオイルパンを取り外し、「オイルストレーナーのフィルターの状態」と「オイルパン内側の沈殿物」を確認してみます。ストレーナーについては、異常な詰まりなどは見られません。フィルター詰まりによる一時的な油圧不足が原因の症状ではなさそうですね。オイルパンの底の沈殿物も異常は感じられません。磁石への吸着物の量も、今まで見てきたものと比べても異常性は無いようです。
ストレーナーとオイルパン・磁石の洗浄をして組み付けます。CVTFを充填して再度試運転をしてみましょう。ちなみにオイルパンを取り外して抜け出たCVTFは3.6L。このCVTユニットのCVTFの総量は6Lなので、6割のCVTFが新品に入れ代わっていることになります。さてこの状態で症状に変化がみられるのでしょうか…。結果は、アクセルを踏み込んだ初期加速時の、ダイレクト感(つながり感)が改善されたような印象です。ただ、ジャダー症状がなくなることはありませんでした。ほんの少し症状が出づらくなっている印象はあります。
6割のCVTFが新油に入れ替わったことで、若干ですが変化がみられたので、今度はトルコン太郎を使ってCVTFの圧送交換を行い新油率を上げてみようと思います。通常は2回の圧送交換をするのですが、今回はまず1回の圧送交換のみ行い、試運転で検証してみます。使用するCVTFはスズキ純正ではなくアイシン製のCVTF「CFB」でいきます。適合は問題ありません。
左が新しいCVTF、右が圧送交換後のCVTFの状態。ペットボトルに入っているのは、オイルパンから抜いた最初の状態のCVTFです。1回の圧送交換で新油とまではいきませんが、だいぶキレイになりました。再度この状態で試運転を行ってみます。結果はというと、ジャダーが完全になくなることはありませんでしたが、明らかに走行フィーリングが改善されているのを感じることができました。ジャダー症状については出づらくなっている印象があります。
最後は、ホンダ車のジャダー解消に効果的なSOD-1を添加して検証してみます。
SOD-1とは、
①強力な洗浄分散効果
・AT・CVT・DCTの内部洗浄により適正なフリクションに回復させ、ジャダーや変速時のショック、滑りも改善。
②強力な吸着膜とメタルコーティング・ミクロン粒子のトリプル効果
③ゴム・シール素材の硬化・収縮防止、オイルの滲み、漏れ抑制効果
といった効果を持つオイル添加剤で、今回は①と③の効果に期待したいと思います。①についてはホンダ車で実証済みの「ジャダー解消」効果。③はオイルシールの柔軟性の回復効果の事で、バルブボディ内の油圧回復が期待できます。さてどのような結果がでるでしょうか。
試運転の結果は?
添加直後の試運転の話ですが、ジャダー発生頻度は減りましたが、完全になくなってはいません。では「残念でした」で終わりかというと、そうではなく。SOD-1は「遅効性の添加剤である」ということ、ようするに添加直後から効果を発揮するのではなく「走行しながら少しずつ効果が出てくる」ということです。内部洗浄分散効果についても、オイルシール柔軟性回復についても少しずつ効果が出てくるはずです。この遅れてやってくる効果で症状の変化がでてくる可能性があります。私が試運転を繰り返す間、ジャダー症状が完全に消えることはありませんでしたが、お客様には遅効性の効果の説明を行い「経過観測」をお願いして納車致しました。
納車3日後
納車から3日後、お客様から連絡があり「今のところジャダー症状が発生していない」との報告を頂きました。ただ、少しだけ「コツン」と変速ショックのような振動を感じるようです。この症状は、CVTF交換前の試運転で私も気づいていた症状でした。こちらについても引き続き経過観測をお願いしました。
結論
スズキ車のすべてのジャダー症状に効果があるとは言えませんが、今回の検証車パレットでは、「CVTF交換」と「SOD-1の添加」でジャダー症状の改善が見られました。話は変わりますが、こちらのお客様は弊社に入庫する直前に地元のスズキディーラーに相談しており、ジャダー症状の解消にはミッション載せ替えが必要と診断され、新品ミッションへの交換やコントローラーの交換で46万円ほどの見積もりが提示された、という経緯がありました。ミッション載せ替え以外の方法で、ジャダー症状の解消、緩和をしたい場合には、今回のような処置を試してみる価値はありそうです。
他のパレットとの比較をする機会がありましたので追記します。まずは左の写真のシルバーのパレット(走行7万キロ)ですが、こちらは弊社で使用している代車で、正常な車両となります。ジャダー症状の出やすい条件(右左折時からの加速)を試してみますが、とくに異常性を感じることはありませんでした。続いては右の写真のパールホワイトのパレットSW(走行11万キロ)ですが、この車両は1年ほど前に、弊社でジャダー対策のためにCVTFの圧送交換を行ったことがある車両です(SOD-1は未添加)。交換直後はジャダー症状が治まっていたので、1年経過してどうなっているか気になります。試運転をしてみると、幸いジャダー症状は出ていないようでした。ただ、変速ショックのような「コツン」といった振動を感じます。今回の【検証車】のパレットと同じ症状ですね。このCVTには副変速機という機構があるのですが、その切り替えのタイミングでこの振動を感じるようです。ということはCVTFの交換をすることで、ジャダー症状の改善は見込めるものの。このような変速ショックまで改善させることは出来ないようですね。あとは【検証車】のパレットに添加したSOD-1の効果で少しでも緩和されるようだと面白いのですが、、、。やはり継続的な観測が必要なようです。乗り比べてみて感じたのは、副変速時の変速時にジャダー症状が出ているのではないか?ということです。とすると、副変速機のクラッチがつながった際に、ある一定以上のトルクがかかるとクラッチがすべり、振動として感じる。いわゆるスティック・スリップ現象※。これがこの「副変速機付きCVT」のジャダーの正体ではないかと推測します。クラッチが滑る原因についても、いろいろ推測できます。CVTFの劣化、クラッチ表面の劣化や異物の付着、バルブボディの油圧異常など、いろいろ考えられますが、CVTF交換で改善がみられるので、CVTF劣化の影響が大きそうです(CVTFに要求される「耐シャダー性能」の低下)
変速時のコツンという振動についてはどうでしょう。バルブボディの油圧異常が原因であれば、SOD-1などのオイルシールの柔軟性回復効果のある添加剤を添加することで改善してくれると良いのですが…。ただ、この振動については気にならない人の方が多そうな気がします。現にこの右の写真のパレットの持ち主は、まったく気にしていない(気づいていない)様子でした。
比較で判明したこと
①CVTF交換のみでもジャダー症状の改善は見込める
②副変速機の変速時のコツンという振動はCVTF交換のみでは改善しない
経過観測事項
①SOD-1の遅効性効果でコツンというショックが改善するかどうか(追記 効果あり)
※スティック・クリップ現象とは
機械的振動系において、摩擦による減衰が負であることに原因する自励振動の一種で、鋭い鋸歯状波形の付着・滑り的振動状態をいう。摩擦係数が滑り速度の増加とともに急激に減少するときや、静摩擦から動摩擦に移る際の不連続的な摩擦低下が生じるときに発生することがあり、その周期、振幅は滑り速度や機械系の弾性的性質などによって異なる。また、単に摩擦の速度特性だけでなく、摩擦面間での微視的な凝着部の形成、破断も関係するといわれている。例えば、機械装置類の摺動案内面部において、潤滑作用が不調の場合や加わる荷重の変動などにより、この現象が発生することがある。(大車林より引用)
エンジンオイル交換でご来店の機会にその後の状況を確認することができました。まず「ジャダー症状」についてはほぼ収まっているのと、変速ショックのような「コツン」といった振動も出なくなっているようです。実際に試乗させてもらいましたが処置前の症状からすると非常に良好な走行フィーリングです。前回比較した「1年前にCVTFのみを交換した車両」は「コツン」という振動が解消されていなかったことを加味すると、SOD-1を添加したことによる効果が出ていると考えることができそうです。ただ、夏が近づき気温が上がってきたころから稀に軽いジャダー症状やハンチングのような症状が出ることがあるとのこと。冬の間はまったくでなかったそうなのでコチラも経過観測をお願いいたしました。CVTFは圧送交換したばかりですのでCVTFの劣化は考えづらい。そうなると気温の変化による要因が関係あるのかもしれません。考えられるのは油温の変化、外気温が上がるとCVTの油温も上がりやすくなります。もし油温が上がった際にその症状が出ているようであればそこに対する対策を行うことで緩和もしくは解消できる可能性があります。あくまで憶測ですので油温が確認できる状況を作ってデーターをとってみないとなんともいえません。では仮に油温上昇時に出ているとして、どのような対策があるのでしょうか?考えられるのは「①CVTFクーラーの増設」「②熱ダレしにくいCVTFに交換する」でしょうか。②の方が現実的ですね。「油温上昇して性能低下したCVTF」と「劣化した副変速機のクラッチ」の効果で軽いジャダーが出ている可能性がありそうです。今後夏場になって症状が悪化することも考えられるのでこちらも経過観察していこうと思います。
このことからSOD-1の添加は副変速機付きCVTのジャダー対策になりえる可能性が見えてきました
その他の不具合トランスミッションの検証ページ
【検証】走行不能になったATミッションを分解してみよう スズキ軽4AT
増満自動車YouTubeチャンネル
ATF/CVTFの圧送交換の動画再生リスト
トランスミッションの分解検証の動画再生リストNEW!
作業事例の紹介
ユーチューブ動画で紹介している車両もあります。
※【YouTube動画あり】の車両をクリックしてみて下さい。
トヨタ・レクサス
MR2|走行140,000km 54,200円
クラウン GRS180|走行145,000km 32,000円
ヴェルファイア|走行80,000km 51,000円
クラウンGSR184|140,000km 59,000円
ポルテ|15,000km
クラウンURS206|173,000km 69,000円
レクサス IS250|120,000km 69,000円 長崎県【YouTube動画あり】
レクサス IS250|106,000km 69,000円 熊本県【YouTube動画あり】
ランドクルーザー|走行200,000km 宮崎県
ヴォクシーZRR70|150,000km 64,000円【YouTube動画あり】
ハイラックスサーフTRN215W|161,000km 58,000円【YouTube動画あり】
アリストJZS160|148,000km 【YouTube動画あり】
日産
ダットサントラック|走行160,000km 54,000円
Z33フェアレディZ|走行130,000km 43,000円
ラフェスタ|走行 68,500円
フーガ|走行89,000km 65,000円 宮崎県【YouTube動画あり】
スズキ
ジムニーシエラ|走行70,000km
セルボ|95,000km 42,500円
ランディSC25|112,000km 42,000円
ワゴンR MH23S|24,600km 46,000円 福岡県
ワゴンR MH23S|走行170,000km 41,500円
ワゴンR MH23S|走行160,000km 41,000円【YouTube動画あり】
MRワゴン|走行135,000km
ダイハツ
ムーヴ|走行98,000km
ムーヴコンテ L575S|走行118,000km 55,500円【YouTube動画あり】
スバル
サンバーディアス|走行130,000km 43,000円 宮崎県
ホンダ
バモス|179,000km 34,000円
ミツビシ
ミニキャブ|110,660km 37,800円 宮崎県【YouTube動画あり】
AT/CVTの不具合検証
【検証】走行不能になったATミッションを分解してみよう
【検証】スズキ車のCVTジャダー症状への効果的な対策はあるか?
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トルコン太郎|動画のみ2
トルコン太郎|ダイハツ2
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